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<マスタークラス>講師:黒沢清・篠崎誠


TOKYO FILMeX (2010年11月27日 19:00)

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11月27日(土)、有楽町朝日ホール(スクエアA)にて開催されていた<Next Masters Tokyo 2010>の最終回(マスタークラス第5回)は、黒沢清監督(『トウキョウソナタ』)と篠崎誠監督(『東京島』)をゲストに迎え、「どのように映画を撮ればいいのか」と題したトークが繰り広げられた。まず、黒沢監督が「映画をどのように撮るかは、全く自由です」と結論づけたうえで、実際にどのようなことを考えながら制作するのか、両監督の具体的な方法についてプロセスごとに伺うことができた。


■第1段階--脚本
第1作『おかえり』(96)でベルリン映画祭最優秀新人監督賞はじめ、多数の映画賞を受賞した篠崎監督。統合失調症の女性の話だったため、関係者に取材したり資料を調べたりして、2年の歳月を費やし脚本を書き上げたという。最初の2作は自分で脚本を書き、それ以降はプロデューサーに持ちかけられた企画を制作している。
「商業映画については、現場でセリフを一切変えてはいけないとプロデューサーから言われます。制作委員会が複数の会社のプロデューサーから成っていて、そこで決定した脚本を現場で覆してはいけないということです。なので脚本作りの段階で闘わなくてはいけない。自分の脚本については現場でどんどん変えていきます。脚本は文学ではないので、撮影という行為を通じてできるもの。そのシーンの一番大事な要素・感情は何かというところを考え、その動作が本当にベストか検討します。無理に変えようとしているわけではありませんが、他人が書いたシナリオは(その点について)かなり読み込みます」と篠崎監督。


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黒沢監督は「脚本を書くうえで気をつけていること」として、次の4つを挙げた。
(1)基本的にセリフは2行以内。よほど面白くないと3行以上はNG。(2)会話の中で『・・・』(無言)はやってはいけない。(3)過去に戻る話はつまらない。戻った部分は大体説明なので、なるべく早く済ませる。映画にとって一番重要なのは現在の描写。(4)推理小説をそのままの流れで映画にすると100%つまらない。アメリカのTV「刑事コロンボ」のように、最初に犯人がわかり、後で追いつめていくような話は面白い。
また、良い脚本について「面白いオリジナルのアイデアが4つあるのが丁度いい。5つ6つあると長過ぎるし、2つ3つだと短い。1時間45分の映画だと4つ必要かなと基準にしています」と語った。若い頃の黒沢監督は、朝起きると喫茶店に行き、アイデアを大学ノート4ページ分書くまでは家に帰らない、ということをやっていたという。「そういった経験は、発想のトレーニングにはなったと思います」。


■ 第2段階--撮影前の準備(キャスティングとロケーションハンティング)
キャスティングについて、篠崎監督は「インディペンデントだと、ある俳優を想定して書くことがあります。商業映画だとプロデューサーがキャスティングの権利を有しています。オーディションでは、あるシーンについての"続き"(脚本には書かれていない)を自由に演じてもらったりすることがあります」とのこと。
キャスティングが決まり撮影に入るまでの間、監督によっては俳優陣とリハーサルやミーティングを行うようだが、黒沢監督は「僕はやりません。時々それを希望する俳優やスタッフがいますが、撮影現場以外では芝居はしないで欲しいとお願いします。いろんな監督がいますが、結果が良ければどちらでも良いと思います」ときっぱり。


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ロケハンについては、天候やノイズにも考慮する必要があるとのことで、篠崎監督は、「時間によって光が全然違うので、気に入ったロケ場所は許される限り、違う時間に何回かみせてもらうようにします。あと、どんな音が聞こえてくるかということも重要です」と述べ、黒沢監督に「天候の変化」にどう対応しているのかを質問した。「経験から辛い思いをしないようにと...、下見の時に晴れていたら、(本番は)曇りの設定で考えます。曇っている時に下見したら、当日は晴れたらいいなと臨みます(笑)」と黒沢監督は答えた。


■第3段階--撮影
「カット割りやコンテをちゃんと描いて、予めスタッフに配りますか?」との黒沢監督の問いに、「基本的には書きません。事前に綿密な打ち合わせをしますが、実際には俳優に演じてもらって考えます。自分の中にイメージはありますが、最初は俳優に自由に演じてもらいます。イメージと全く違う演技を俳優がやった場合、極めて例外ですが、両方撮る場合もあります」と篠崎監督。
さらに、「演技が下手な俳優っていますよね。そういう場合どうしますか?」と黒沢監督が突っ込むと、篠崎監督は「ラッキーなことに今のところないですが、そういったことがないよう、小さな役でもオーディションや話合いをするようにしています」と答えた。逆に訊かれた黒沢監督は、「下手なのは僕の責任じゃないので、そのまま撮ります(笑)」と答え、会場は笑いに包まれた。

さらに、最近流行っているハンディーカメラについて、両監督の考えが語られた。
篠崎監督が「僕はそれを"24(twenty-four)シンドローム"と読んでいますが、意味もなく使用するのはナンセンス。たとえばジョン・カサヴェテス(作品)と、ただカメラを動かし回しているものとは全然違うと思います」云うと、黒沢監督も「ハンディーはどうにでもつなげられるので、いい加減な編集になってしまう。ブツブツ切れて引きも寄りもない。ちゃんと編集を考えたうえでの"手持ち"なら良いと思う」と同調した。
 
■第4段階--編集
最後の編集の段階で、篠崎監督が黒沢監督の"ある教え"を必ず守っているという。「つないだものを、その日のうちに見ない」ということだ。
「最後まで一通りつないで出来上がったら、一日置いて翌日か翌々日に、できれば小さい画面ではなく上映する。たった今つないだところを見直すのは、百害あって一利なしです」と、黒沢監督は"声を大にして"強調した。

この他にも、「マスコミ取材の対応」など語られる予定であったが、残念ながら時間切れとなり1時間半に渡るトークは終了した。<Next Masters Tokyo 2010>は盛況のなか、幕を閉じた。


(取材・文:鈴木自子 写真:関戸あゆみ)

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