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第12回ラインアップ発表会見レポート


TOKYO FILMeX (2011年9月15日 20:32)

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9月15日、東京・渋谷の映画美学校にて、第12回東京フィルメックスのラインアップ発表が行われた。会見の席には林 加奈子東京フィルメックスディレクター、市山尚三プログラム・ディレクターが登壇。林ディレクターがまず発表したのは<世界×日本×未来=つなげる国際映画祭>というメッセージ。「「つながる」ではなく「つなげる」という意志をこめた表現とした」と述べ、「映画の未来」への確固とした思いを示した。

続いて、国際審査員が紹介された。アミール・ナデリ監督を審査委員長とし、フィリップ・アズーリさん、チョン・スワンさん、篠崎誠監督、スーザン・レイ監督の計5名が、コンペティション部門の審査にあたる。コンペティション作品はイラン、スリランカ、韓国、中国、日本からの全部で10本。


また、特別招待作品は7本の上映が決定。オープニング作品は3年間の沈黙を破ったキム・ギドク監督のセルフ・ドキュメンタリー『アリラン』。イラン政府から"映画"を作ることを禁じる処分を受けたジャファール・パナヒ監督からは、『これは映画ではない』という人を食ったタイトルのドキュメンタリーが届けられた。また審査委員長ナデリ監督の最新作『CUT』は、東京フィルメックスでの出会いをきっかけに西島秀俊さんの主演が決まった作品。その他に、ジョニー・トー、タル・ベーラ、豊田利晃、廣木隆一ら、フィルメックスではおなじみの面々が登場する。


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ニコラス・レイ生誕100年記念企画として上映されるのは、晩年の実験的作品『ウィ・キャント・ゴー・ホーム・アゲイン』。発表当時その先鋭さゆえほぼ黙殺された幻の傑作だが、追加で編集や変更を繰り返し、オリジナル版からさらに進化した最新バージョンでのお目見えとなる。ニコラス・レイ監督夫人であるスーザン・レイ監督による『ウィ・キャント〜』のメイキングでもあるドキュメンタリー『あまり期待するな』も合わせて上映される。こちらも大いに「期待」したい。


例年大きな反響を呼ぶ特集上映のひとつめは「限定!川島パラダイス♪」。川島雄三監督の膨大かつ多様な作品群のうち、1950年代に松竹と日活で撮られたものから4本を上映。その功績の一方で国際的に紹介されることの少なかった川島作品の魅力を海外に発信する。
また2012年の木下惠介監督の生誕100年に向けたプレ企画として、『お嬢さん乾杯』の特別上映を行う。これら5本は、「東京文化発信プロジェクト」の一環として作成された英語字幕付きニュープリントで上映される。
「相米慎二のすべて」は、2011年9月9日に没後十年を迎えた相米慎二の全作品13本が一挙上映される、というまたとない機会。全上映に、作品の出演者ら豪華なゲストを迎えてのトークイベント開催が予定されている。


上映のほか、さまざまな関連プロジェクトもさらに充実を見せている。昨年「Next Masters Tokyo 2010」としてスタートした映像人材育成プロジェクトは、ベルリン国際映画祭との公式提携により「タレント・キャンパス・トーキョー2011」と名称を改めて今年も開催が決定。次世代の作家たちのサポートを行うため、次年度以降も継続的開催を目指している。
また今年初めての試みとして、東京学生映画祭との提携により、学生審査員賞を設置。3名の学生審査員がコンペティション部門を審査し、学生審査員賞を選出する。
また、最新の日本映画を海外に紹介する業界向けのプロジェクトであるユニジャパンDVDライブラリーも開催される。


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会見の最後に、審査員の篠崎誠監督、コンペティション作品『無人地帯』の藤原敏史監督が登壇し、それぞれコメントを寄せた。
篠崎監督は「自分にとってとても大切な作品である『忘れられぬ人々』を第1回東京フィルメックスのコンペティションに選んでいただいた。それから干支が一回りしてこうして審査員を務めることになり、非常に光栄に感じています」と感慨深げに語った。東京フィルメックスの関連企画である第2回<「映画」の時間>(子ども向け映画ワークショップ)やNext Masters Tokyo 2010に講師として参加、また観客としても毎年参加しているという篠崎監督。審査員を引き受けた理由を「面白い作品たちを是非観たいとの欲望に負けて」と話し、コンペティション作品への期待を表した。


藤原監督は『無人地帯』で、福島第一原発事故後の周辺地域をキャメラに収めた。「原発に対しては従来より反対のスタンスでいたが、自分でそういった作品を撮る、ということは考えていませんでした。しかし原発事故発生後にその考えが変化してきて、4月20日に20km圏内に入ることを決めました。直後の22日には警戒区域と指定され、その地域に立ち入ることは原則的に不可能となったので、その時点で撮影していてよかった、と思いました。それまでは避難していた人々も家や家畜の様子を見るためにしばしば戻っていたのに、それもできなくなった----といったことが映画の中でも描かれています。その後計画的避難区域となった飯舘村を訪れ、自宅を後にしようとする人々に話を聞くことができました」
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東京フィルメックスの印象について聞かれると、藤原監督は「第1回目から観客として参加し、その中で出会ったアモス・ギタイ監督の通訳を務めるなど、東京フィルメックスとは深い関わりがあります」と笑顔で語ってくれた。「その映画祭で自分の作品が上映されるのはとても不思議な気分ではあります。今回は通訳の任務もないので(笑)自分の作品に集中したい、と思ってます。とはいえ、今年もすばらしいプログラムなので、どうスケジュールを組んで見たらいいだろう、と困っているところ(笑)」。


第12回東京フィルメックスは11月19日(土)から11月27日(日)まで、有楽町朝日ホール、東劇、TOHOシネマズ 日劇、TOHOシネマズ 有楽座の各会場にて開催される。
チケットは11/3よりチケットぴあにて発売予定。また、特集上映「限定!川島パラダイス」「相米慎二のすべて」は現在発売中。


(取材・文:花房佳代/撮影:西岡浩記)






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