開会式
TOKYO FILMeX ( 2011年11月19日 20:00)
11月19日、TOHOシネマズ 有楽座にて、第12回東京フィルメックスの開会式が行われた。林 加奈子東京フィルメックス・ディレクターが登壇し開幕を宣言すると、会場は大きな拍手に包まれた。今年、震災という大きな出来事があった日本。「地球の上で様々な事件が起こっています。こんな時でも、こんな時だからこそ、映画を観て考え続けようと思います。今年のフィルメックスは、今を生きる私たちがもっと強く生きるために必要な映画が揃いました」と、日本の国際映画祭としての決意を力強く表明した。引き続き上映するオープニング作品『アリラン』について「巨匠キム・ギドク監督の"挑戦"を、皆様どうぞお楽しみください」と、林ディレクターは挨拶を締めくくった。
続いて、今年のコンペティション部門審査委員長と各審査員が紹介された。フランスの映画評論家フィリップ・アズーリさん、韓国の映画研究者、チョン・スワンさん、日本の篠崎誠監督が登壇。そして、最後に審査委員長であるアミール・ナデリ監督が登壇し、ひと際大きい拍手で迎えられた。審査員の一員であるニコラス・レイ財団代表、スーザン・レイ監督は、フライトスケジュールの関係で残念ながら欠席となった。
審査員を代表して、アミール・ナデリ監督が「今日は私の人生において重要な日です。東京フィルメックスとは8年間の付き合い。日本への窓口として多くのことを発見させてくれました」と挨拶。23日に特別招待作品として上映される、自身の作品『CUT』について触れ、主演の西島秀俊さんやスタッフにこの映画祭を通して出会い、その成果として日本でこの作品を撮影することができた、と語った。「東京フィルメックスは我が家であり、同時に大学のような場所。ここに来ると必ず学ぶことがあります。良い映画を上映すること、良い観客を育てていくことに全力を注いでいると思います」
続いて、ナデリ監督は今回のラインナップについて「林ディレクターと市山尚三プログラム・ディレクターが大変丁寧に選ばれたものです。コンペティション作品については審査員の方々と共に真剣に取り組み、心を込めて一番良い選択をしていきたい」と語った。特集上映『ニコラス・レイ生誕百年記念上映』について、ニコラス・レイ監督作品はいま見ても新鮮なアイディアを持っており、またなかなか観ることができない貴重な作品であるとコメントし、感謝の意を示した。
日本作品の特集上映「限定!川島パラダイス♪」 や「相米慎二のすべて -1980-2001全作品上映-」にも触れ、「これらの作品も傑作ばかり。で、いまなお新しい映画たち。映画のルーツに戻ることも重要な体験です」と語った。
最後に「私の作品は『CUT』というタイトルですが、この映画祭の開幕を記念して『アクション』と申し上げたい」と締めくくり、満員の観客を大きく沸かせた。加えて、ナデリ監督は、客席にいた映画評論家で第5回東京フィルメックス審査委員長も務めたドナルド・リチーさんに向けて「素晴らしい人物にこの瞬間を捧げたい」と心から敬意を示した。沸き起こった拍手の後に「カット!」と叫び、会場からさらなる喝采を浴びた。
熱気と、ナデリ監督の熱いスピーチと共に幕を開けた第12回東京フィルメックス。最終日の11月27日、有楽町朝日ホールでおこなわれる閉会式にて、コンペティション部門の最優秀作品賞、審査員特別賞、観客賞などが発表される。
(取材・文:大下由美、撮影:中堀正夫、清水優里菜、三浦彩香、村田まゆ)
|